やさしい日本語ツーリズムの核心は、外国人観光客に対しては、わかりやすい日本語を使ってコミュニケーションを図ろうとするものです。わかりやすい日本語とは、外国人の観点から理解しやすく、使いやすい日本語のことです。日本語を不自然に簡約化したり、また幼児相手に子どもっぽくしたりするものではありません。
私たちが提案するのは、日本人が使い分けているいくつかの会話のかたち、たとえば家庭内や友人との間でのざっくばらんな会話のかたちと、仕事の上での敬語を含むフォーマルなかたちに加えて、外国人と話すときに理解してもらえる、やさしい日本語のかたちを持ちましょう、ということです。これは、英語や中国語を学ぶよりもずっと簡単です。それでいて、日本語が少しわかる世界中の人に対応できます。
観光業にたずさわらずとも、外国人のお世話をしたり、いっしょに仕事をしたりするときに役立つ技法であり、考え方です。すぐに使う必要がなくても、何となく面白そう、将来に役立つかもしれない、そう感じたら、練習して、ちょっと実践してみてください。きっと面白い経験がたくさん待ちうけていると思います。
(荒川洋平)