「やさしい〇〇語」には、第1言語としてのものと第2言語としてのものがあります。
前者は、それを母語とする人の間で言葉をやさしくしようというものです。日本では国立国語研究所による難しい外来語の言い換え提案がその例です。この源流は1970年代にアメリカで起きた Plain English Movement という運動になると思います。移民が多いアメリカでは法律、医学用語、不動産、取扱説明書などでわかりやすい英語を使うことが行政や団体、企業に求められました。
一方、後者はその言語を外国語や第二言語として学ぶ人が多くなると生まれるもので、Ogdenの Basic English ,Nerrièreが提唱するGlobish, ラジオVOAの Special English などもその例です。
なお、結果としての「やさしい〇〇語」の究極の形はピジン ではないでしょうか。
また年長者が年少者に語る口承、いわゆる昔話や土着の物語などはその行為の性質上、やさしいことばが使われます。これが書き表され、挿絵が付くと絵本になるわけですが、英語教育ではこの「やさしい語りなおし (retelling)」を文学作品にも用い、語彙数が限られた読者でも読めるように再構成した書籍(retold)が数多く出版されています。古典から現代文学まで、また読者の語彙レベルも複数が想定され、「やさしい英語」の形として商業ベースに乗っています。
(荒川洋平)