イギリスやアメリカのような、英語を母語とする国々は別にして、なぜ世界中の人々は英語を勉強しているのでしょうか。
それは、「勉強しなければ、話せないから」と言えるかもしれません。
こんな簡単な事実を、実は日本人は理解していないのではないでしょうか。
英語は事実上の世界共通語であり、話せると大変便利です。かといって、英語が母語(生まれて最初に獲得する言語)ではない人は、勉強しなければ英語を話すことはできません。
ということは、英語が母語でなければ、
「あまり勉強しておらず、英語が話せない人」
「英語を勉強しても、話せるようにならない人」
がいるのは、日本だけでなく世界共通のことです。それなのに、なぜ日本人は「外国人は英語ができる」と思い込むのでしょうか。
経済成長著しい東南アジアからの家族連れ客には、ビジネス経験で英語が使える人も多く、グループの1人とだけ話すなら今でも英語が便利かもしれません。
しかし、台湾や韓国のように日本旅行が特別ではないところからは、一般の日本人の英語レベルとさして変わらない人たちが来ています。そのような人たちに対して、相手の希望も聞かずに一方的に英語で対応することは、私たちが海外で英語対応されるときのようなプレッシャーを感じさせることになるでしょう。
さらには、多少英語がうまい日本人が、そうでない外国人と英語で話してうまくいかなかったとき、相手をバカにする傾向はないでしょうか。ここまで来ると、その日本人にとって英語は自己満足のツールにすぎないかもしれません。
仮に平均的な日本人より東アジアを含めた国地域の人の方が英語の会話能力は上だとしましょう。しかし、それが自由自在に話せるレベルかどうかは別問題です。本来は、どの言語で話してほしいか、相手に確認すべきです。
研究会が発表した台湾人の日本語学習者調査では、
日本語学習経験者のうち66.1%は、日本旅行で日本人と日本語で話したいと思っている。日本人に英語を話してほしいと思っている割合は14.4%。
という結果が出ています。それでもあなたは台湾人に英語で話しますか?
(吉開章)