私の勤務している日本語学校でスピーチコンテストがあり、1レベルから8レベルまで、総勢17名12カ国の学生が日本語でスピーチをしました。スイス人留学生のカルメン・ミュラーさんは日本で感じた「寂しさ」について発表していました。
「日本人の考える快適さがいきすぎて、かえって相手を不快にさせたり、親切さが伝わっていないことがないでしょうか」
と、彼女は問いかけています。
彼女の見た目は金髪に白い肌です。それを見た日本人は英語で話しかけたり、英語のパンフレットを渡してくれるそうですが、その心を彼女は感謝すると同時に「寂しい」と言っていました。
彼女のように日本語を勉強している留学生は、大金を支払って日本に来ています。それは生きている日本語を学ぶためです。生活の中で日本語を使うためです。そんな気持ちの留学生が日本人に英語を使われると、「あなたは日本語ができない」と判断されたような気持ちになってしまいます。だから「寂しい」のです。
カルメンさんはスイスの出身です。スイスでは公用語が4つあり、どうやって使い分けている使い分けているかというと、場所によって使う言葉が違うそうです。つまり、ドイツ語が使われている地域ではドイツ語で話しかけるし、フランス語の地域ではフランス語で話しかけるそうです。
その考え方によれば、日本はどこでも日本語でいいはずです。
これはカルメンさんに限った話ではありません。同じように日本語を勉強している外国人は多かれ少なかれ感じていることです。私は日本語教師として、彼らが日本語を使うチャンスが少しでも多くなってくれることを願っています。
(中山裕子)