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多文化共生を一歩進める、「やさしい日本語落語」の可能性。

「やさしい日本語」を一般市民にも広げ、外国人との交流を後押しするには「笑い」が一番。「やさしい日本語落語」は、当研究会発足に際し、以前から親しくさせていただいた桂かい枝師匠に話を持ちかけ、10月8日に柳川の地で初めて実現しました。

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「やさしい日本語落語」とは何か。現段階では、

日本語が少しでもできる外国人向けに、できるだけ「やさしい日本語」の手法を用いて行う落語

と位置付けています。日本人でも大爆笑できますが、あくまで「外国人向け」であることにこだわります。

かい枝師匠は落語の文化を海外に伝えるため、英語に翻訳した「英語落語」で世界を爆笑の渦に巻き込んできました。しかし世の中は英語ができる人ばかりとは限りません。それは日本の在住外国人にも同じことが言えます。

私がかい枝師匠に「外国人にもわかりやすい日本語の表現方法があるんです」とお話ししたところ、大変な興味をもっていただきました。それからかい枝さんはやさしい日本語に関していろいろ調べ、数々の小噺や「平林」をやさしい日本語の手法を取り入れて柳川の地で留学生たちに披露してくれました。事前打ち合わせでランスルー(一通りやってみること)を終えた時、かい枝さんは一言、

「これ、外国語ですね。英語落語より難しい。」

とおっしゃっていました。

「やさしい日本語落語」は、訪日観光客向けの日本語ツーリズムだけでなく、国内の多文化共生を進める促進剤になると考えています。そして今回の柳川で行われた「やさしい日本語講演会」はその基本形を実現しました。

1)地域にいる外国人と日本人が一同に会する(同数規模が理想)

2)地域日本人向けに日本語教育関係者が「やさしい日本語」の重要性とコツを伝授。

→地域外国人は日本語を学んでいる日本人を見て、新鮮な面白さを感じる。

3)地域の外国人向けに「やさしい日本語落語」を公演。日本語で笑えたという成功体験を提供。

→地域日本人は、外国人が日本語で笑っているのを見て、新鮮な驚きを感じる。

4)笑いで暖まった会場で、地域の外国人と日本人がやさしい日本語で交流する。

この実証実験は見事成功しました。柳川市はまだ外国人住民が多数暮らす自治体ではありませんが、市の関係者が「ツーリズムだけに使うのはもったいない」とおっしゃっていました。

多文化共生を推進していくには、地域ボランティアだけでなく、もっと一般の人が外国人と関わっていく必要があります。自治体や地元企業などが音頭をとり、地元外国人とボランティア、そして一般市民が一同に会して「やさしい日本語落語」で大爆笑する。こんなことが全国で広がっていけばいいなと夢見ています。

今回は比較的レベルの高い留学生たちを対象にしましたが、もっと広い裾野の方々を対象とするには、もう少し時間がかかるかもしれません。これからかい枝さんと研究会の二人三脚で「やさしい日本語落語」というジャンルを開拓し、夢を実現していきたいと考えています。

(吉開章)

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