ショートムービー「第三者返答」
明治大学国際日本学部横田雅弘ゼミナールと協力し、インクルーシブ な社会の実現を目指して、「 第三者返答 」をテーマとする同名タイトルのショートムービーを2022年9月30日に公開しました。昨年のやさしい日本語ラップ「やさしい せかい」に続き、明治大学国際日本学部との協力による2作目の映像作品となります。視覚障害のある方など向けの音声ガイド版も公開しています。
「 第三者返答」とは関西学院大学オストハイダ・テーヤ教授が2005年に提唱した概念であり、
話しかけてきた人の見かけの印象などから、
その人との意思疎通が問題ないにも関わらず無視して、
その人と一緒にいる人に返答すること
と定義されています。例えばレストランで日本語堪能な外国人が日本語で注文しているのに、店員は戸惑ってその外国人を無視し、一緒にいる日本人の友人に向かって返答をするというような場面をいいます。オストハイダ教授は、このような場面は外国人だけでなく車いす利用者も同様な体験をすると指摘しています。
このようにコミュニケーションを迂回する・される現象は多くの人が経験することですが、一般的な呼称が知られていないため、見過ごされがちになっています。本作品はこれを「第三者返答」というキーワードで言語化し、世に問いかけるために制作されました。
映像化においては、多様性の理解や啓発の手法である「 ヒューマン・ライブラリー」の研究をする明治大学国際日本学部横田雅弘教授の協力を得ました。横田ゼミ生が様々なマイノリティの方々の第三者返答体験をヒアリングし、その内容をもとに映画監督である小澤雅人氏がオリジナル脚本を書き下ろしました。
劇中の大学教員で全盲の堀田役堀越喜晴さんは現役の明治大学教員であり、ストーリーには堀越さん自身が第三者返答された体験が盛り込まれています。この他横田ゼミ生ややさしい日本語啓発に携わる方々が出演し、主役の留学生アリス役のスウェーデン人ソフィ・愛さんも含め、キャスト全員がそれぞれの第三者返答の体験をや課題意識をもっている人で構成されています。
脚本と監督を務めた小澤雅人さんは、ワルシャワ国際映画祭コンペ正式出品作品『月光』や韓国全州国際映画祭でBest Picture Prize(作品賞)を受賞した『風切羽〜かざきりば〜』を代表作とし、外国人などの人権にかかわる作品も手掛ける新進気鋭の映画監督です。2022年9月には児童相談所を舞台とした作品『ほどけそうな、息』が公開されました。小澤監督は前年のやさしい日本語ラップ「やさしい せかい」の映像化も手がけています。
さらに本作品を視覚障害のある方にも楽しんでもらうために、映画・映像のバリアフリーに取り組むPalabra(株)の協力による音声ガイド付きバージョンも公開されます。また翻訳ボランティアの方々の協力を得て多言語化を進めます。
●制作・著作: やさしい日本語ツーリズム研究会
●特別協力: 明治大学国際日本学部 横田雅弘ゼミナール
●特別協賛: 株式会社BRIDGE MULTILINGUAL SOLUTIONS(公開時社名株式会社BRICK’s)
●プロデューサー: 吉開章(やさしい日本語ツーリズム研究会代表 やさしい日本語プロデューサー)
●監督/脚本/編集: 小澤雅人(映画『月光』『ほどけそうな、息』監督)
●キャスト
- ソフィ・愛
- 堀越善晴(明治大学兼任講師)
- 岡本有加 室伏旭(明治大学横田ゼミ)
- ハートマン麻奈 宮武茜(『入門・やさしい日本語』認定講師)
- 明治大学横田ゼミのみなさん
- 『入門・やさしい日本語』認定講師のみなさん