研究会について
研究会のミッション
世界には日本語を学んでいる人が、想像以上にたくさんいます。
彼らは日本に来て、日本人と日本語で話しをしたいと思っています。
また、日本に住み、日本語を学んで働く外国人も、増えています。
彼らの子供たちも、日本の学校で、日本語で授業を受けます。
つまり、これからの日本は、
様々な人が、様々な日本語を話す社会になるということです。
外国人にとって、日本語は母語ではありません。
日本人が、なかなか完璧に英語を話せないように、
外国人の日本語も、間違っていたり、幼稚に聞こえたりするでしょう。
大事なことは、そのような人たちが話す様々な日本語を、
寛容な気持ちで受け止めること。
そして、私たちも、必要なときには、
やさしい日本語で話すことです。
でも、日本語のどこが難しいか、私たちは気づきにくいものです。
やさしい日本語を話すのは、かんたんなことではありません。
誰もが、あらためて、やさしい日本語を学ぶ必要があります。
これからの日本は、様々な文化を持つ人たちと、
やさしい日本語で理解し合う社会になるでしょう。
やさしい日本語ツーリズム研究会は、
やさしい日本語の啓発・普及活動を通じて、
多文化共生社会づくりに貢献していきます。
やさしい日本語ツーリズム研究会
代表 吉開 章
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やさしい日本語ツーリズム研究会発足以来の経緯
「やさしい日本語ツーリズム研究会」は、インクルーシブ社会実現のためのやさしい日本語普及を目指すプロジェクトです。2016年株式会社電通が発足し、2023年1月1日からは日本語教育関連のメディア「にほんごぷらっと(日本語教育情報プラットフォーム)」の主催として、様々な関係者の協力を得て、インクルーシブ社会の実現に貢献していきます。
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2016年、研究会立ち上げ
電通の社員で柳川市出身の吉開章が企画立案した福岡県柳川市の「やさしい日本語ツーリズム」事業と連携する形で、当研究会は2016年8月18日に荒川洋平東京外国語大学教授が座長、ヒューマンアカデミー株式会社が協賛、電通が事務局を運営する産学連携プロジェクトとして発足しました。防災減災や行政情報の言い換えなどで研究が進んでいたやさしい日本語を、主にインバウンドの「ツーリズム」の視点からも活用することを社会に提言し、やさしい日本語が新たに世の中に注目されるきっかけを作りました。荒川教授が2016年10月17日発行週刊トラベルジャーナル「やさしい日本語〜おもてなしのシーンが変わる〜」で提唱した「はっきり・さいごまで・みじかく言う」を元に、やさしい日本語の話し方のわかりやすいコツを吉開事務局長が「ハサミの法則」と呼び、現在に至るまで本プロジェクトでの講演などで紹介しています。
2017年4月1日からは、立ち上げ時からのメンバーであり観光接触場面での談話分析の第一人者である東海大学の加藤好崇教授が代表となり、「ツーリズム」における「やさしい日本語」の活用提言をさらに押し進めました。関連出版物として、「やさしい日本語とやさしい英語でおもてなし」(藤田玲子・加藤好崇著、研究社)や「『やさしい日本語』で観光客を迎えよう」(加藤好崇編著、大修館書店)があります。
このほかの立ち上げメンバーであり、訪日外国人向けWebマガジン「MATCHA」を運営する株式会社MATCHAの青木優代表は、創業まもなくから多言語化の一環として「やさしい日本語」でも観光情報を発信しています。同じく横尾嘉信事務所の横尾嘉信クリエーティブディレクターが、当研究会のメッセージビデオ制作に協力しました。
02
立ち上げ後の活動とご縁
立ち上げ後は順調にメディアにも取り上げられ、各地から講演にも呼ばれるようになり、関係者の方ともネットワークを構築することができました。2016年12月20日開催第5回多言語対応・ICT化推進フォーラムでは、やさしい日本語の権威である弘前大学佐藤和之教授・一橋大学庵功雄教授と並び「やさしい日本語の可能性」パネルディスカッションにも登壇しました。
これがご縁で、庵功雄教授のお声がけで実現した初の「〈やさしい日本語〉と多文化共生」シンポジウム でもパネリストとして登壇させていただき、同シンポジウムの発表を中心にまとめた論文集「〈やさしい日本語〉と多文化共生」(庵功雄・岩田一成・佐藤琢三・栁田直美 編・ココ出版)にも1章寄稿するという機会をちょうだいしました。
また、日本語教育推進議員連盟の世話人で「にほんごぷらっと」の石原進代表世話人と出会ってからは、やさしい日本語を国政レベルの多文化共生政策に位置付けるためのロビー活動として連携するようになりました。さらに多文化共生論の第一人者である明治大学国際日本学部山脇啓造教授とも親しくさせていただき、山脇ゼミの年間活動にもやさしい日本語を取り入れていただくなど、多文化共生におけるやさしい日本語に注目してもらいました。
石原氏の紹介で、取材企画「新 移民時代」に2016年から取り組んでいた西日本新聞坂本信博デスクにもやさしい日本語に注目していただき、2017年5月29日「新 移民時代 フクオカ円卓会議」シンポジウムに登壇しました。西日本新聞は外国人にも読んでほしい記事をやさしい日本語に翻訳して提供する「やさしい西日本新聞」にも取り組んでおり、当研究会が協力しています。
2019年3月11日には、石原氏の出身である毎日新聞が主催となり、石原氏・山脇教授・坂本デスク・当研究会吉開事務局長に加え、外国人子女教育の旗手であるYSCグローバルスクール田中宝紀責任者をパネリストとした、新聞メディアによる初のやさしい日本語シンポジウム が開催されました。
このようなご縁もあり、2018年政府が外国人受け入れへ大きく舵を切る中で、2019年には法務省・総務省・文部科学省もやさしい日本語を多文化共生施策に盛り込み、6月21日には日本語教育推進法も成立するという結果になりました。
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2019年、新プロジェクトスタート
「やさしい日本語ツーリズム研究会」は、2019年7月1日より産学連携および1社協賛形式を解消し、電通を主体とした、より広がりと推進力のあるプロジェクトとして再スタートしました。
2019年7月1日、電話通訳など通訳・翻訳ソリューションを提供する株式会社BRIDGE MULTILINGUAL SOLUTIONS (旧社名株式会社BRICK’s)が新生研究会の最初の協賛社となりました。2018年7月当研究会が日経BP「グローバル人材2018」の講演で発表した多言語対応における専門通訳と現場での運用の全体像が、同社の描くビジョンと近いと注目をいただいたことで連携を開始し、今回の協賛に名乗りをあげていただきました。
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『入門・やさしい日本語』出版と認定講師養成講座
2020年の新型コロナ流行でインバウンド客は激減したものの、在留外国人へのコロナワクチン情報や一時金情報などを周知させるため、やさしい日本語は国政レベルに位置付けられることになりました。当プロジェクトでもそれまで講演先などで話していた内容を、2020年アスク出版より『入門・やさしい日本語』として出版、さらに同年から本著作に賛同する方々を対象に『入門・やさしい日本語』認定講師養成講座(主催にほんごぷらっと)を開講し、2022年末までに全国に200名以上の認定講師を組織化しています。
落語家で「やさしい日本語落語普及委員会」を主催する桂かい枝師匠が、『入門・やさしい日本語』を題材にオリジナル落語を公開しています。
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外国人に限らないインクルーシブ社会を目指して
コロナ禍においては、外国人に限らず日本語に壁のある人全体に対する情報保障が注目されてきました。当プロジェクトでは外国人を中心とした多文化共生から、様々なマイノリティなど多様な人たちと共に暮らすインクルーシブ社会の実現を目指して、2021年に明治大学国際日本学部山脇啓造ゼミと協力し、やさしい日本語ラップ「やさしい せかい」を公開しました。
また同年に手話を母語とする「ろう者」も外国人と同様に日本語の壁があることに注目した書籍『ろうと手話 やさしい日本語がひらく未来』を筑摩選書から出版しました。
2022年には明治大学国際日本学部横田雅弘ゼミと協力し、外国人や障害者などを知らず知らず避けて会話をする「第三者返答」に注目した同名のショートムービーを公開しました。
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2023年1月、新しい船出
2023年1月1日より「やさしい日本語ツーリズム研究会」の事業主体が株式会社電通から、日本語教育関連メディアで『入門・やさしい日本語』認定講師養成講座を主催する「にほんごぷらっと(代表世話人石原進)」に移行しました。実務的はにほんごぷらっとの運営事務局であることばとまなびインターナショナル株式会社(代表取締役社長木内健太)への移管となります。
また本事業の創設者である吉開章は2023年3月31日に電通を退社・独立し、これまで通りやさしい日本語ツーリズム研究会代表として、にほんごぷらっとに協力することで活動を継続していきます。
研究会代表
特別協賛
研究会発足発表日:2016年8月18日
最新更新日:2023年2月7日