西日本新聞オピニオン面に「外国人に「やさしい日本語」」が掲載されました。

西日本新聞8月25日(金)朝刊オピニオン面に、当事務局長の寄稿が掲載されました。

Web版にも掲載されています。

https://www.nishinippon.co.jp/nnp/opinion_view/article/353454/

西日本新聞様、ありがとうございました!

筆者としてこちらに転載させていただきます。

国内に住む外国人との向き合い、特に言語と文化の違いへの対応は、少子高齢化の進む日本にとって喫緊の課題である。しかし国内では問題となる「違い」も、海外旅行では「楽しみ」となる。日本でも食べられるグルメをわざわざその国に行って食べるのは、周りが日本語を話さないという非日常性を求めるからだろう。

アジアには英語があまり通じない国が多い。残念ながら日本はその代表的存在だ。訪日観光客の7割近くは中国・韓国・台湾など東アジアからであり、彼らは日本では英語があまり通じないと知って来ている。彼らは必要な情報はスマホで得る。必要なのは英語接客ではなく、無料Wi-Fiの完備かもしれない。

地方を支えるのは韓国・台湾・香港からのリピーター観光客であり、総じて日本語学習熱が高い。昨年の国際交流基金・電通共同調査では、台湾や韓国の人が3人集まればたいてい1人は簡単な日本語なら話し、日本語学習経験者の6割以上が日本では日本語で話したいという結果が出ている。

柳川市はこのことに注目し、日本語を学ぶ外国人にも伝わりやすい「やさしい日本語」で話す研修を市民や事業者に提供している。地域人材や高齢者も参画しやすく、生きがいと雇用を促進する事業として、昨年内閣府から交付金を受けた。決して外国人に日本語を押し付けるのではない。日本語を勉強している人には日本語で話そうということだ。

「やさしい日本語」はもともと国内在住外国人に向けたわかりやすい表現として、主に行政向けに減災や公文書書き換えの分野で発展してきた学問領域である。一橋大学庵功雄教授は「やさしい日本語」の役割の1つに「地域社会の共通言語」を挙げ、「日本の地域社会に共通言語ができるとすれば、その候補になりえるのは<やさしい日本語>だけ」「自然に任せた場合には、いかなる共通言語も生まれない」と述べている。

柳川の「やさしい日本語ツーリズム」は、外国人となかよくなるために、英語でなく日本語でもいい場合があることを提起した。今後は訪日観光客だけでなく県内留学生も日本語を実践しながら観光を楽しめるよう、誘致を進めていく方針だ。

留学生・技能実習生なども日本人と同じ生活者であり、観光をすればお客様だ。そして「やさしい日本語」で話せば通じる人たちである。日本人側が「やさしい日本語」で話せばいいということに気づくだけで解決できる社会課題がたくさんあるはずだ。

(吉開 章)



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