【Q&A】日本語を勉強している人には、普通の日本語で話せばいいんじゃないの?

この質問も、とても多く聞かれます。

日本語を勉強している人になら、普通の日本語で話せばいいんじゃないの?

この質問には、こう聞き返してみたいです。

あなたが英語を相当勉強していても、字幕なしの映画をどれだけ理解できますか?

ディズニー映画のような子供・ファミリー向けの映画であれば、英語を勉強している人はその台本を読んで理解できるかもしれません。しかし聞き取って理解するのは多くの場合困難です。

この研究会が目指しているのは、日本人と日本語学習者の間で「口頭での会話」を成立させることです。

日本語は英語ほど音が複雑ではないので、聞き取りやすいと言われています。しかし、漢語を中心とした同音異義語や、冗長な敬語や文末表現などがあり、書き言葉のようなていねいな文を口頭で話すと、たとえ上級者でも分かりにくいのです。相手はお客様なので、このようなていねいな文章で対応することはよくあります。

このプロジェクトは、日本語を学んだ外国のお客様に、日本で日本語を実践してもらおう、というものです。日本で日本語を勉強してもらおうというものではありません。教育的配慮は基本的には不要です。

お客様は、字幕なしで日本人の話を聞きとることになります。そう思えば、おもてなしをする側は、どのような言葉を選べばいいか、どのような話の運び方をすればいいか、配慮をしたくなるはずです。

もちろん、相手が「普通に話してください」と言ってくれば、そうすべきです。しかし、そこまでの上級学習者は、話していれば分かります。相手がおそるおそる話しているような時には、察してあげて、やさしく、簡潔な表現に努めるべきでしょう。

「やさしい日本語」は、お客様との会話における、おもてなしの心そのものなのかもしれません。

(吉開章)

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